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「少量多品種」の明と暗

学生の頃、経済の授業で販売手法を学んだときに「少量多品種販売」について知識を得たことがあります。どういうものかというと、商品の色・形・オプションなどのバリエーションを多くし、個々の在庫を少なく持ち、お客様に「選ぶ価値」を提供する販売方法です。

お客様目線で考えると、自分の好みに合った商品を選べるので、同業他店への流出を防ぐ効果も期待できます。

今回は少量多品種販売のお店へ行った時の話です。

 

スポーツ店へスポーツシューズを買いに行った時の話

先日スポーツ店へスポーツシューズを買いに行ったときの話です。
運動の素人が地域の運動会で履く目的で買うシューズなので、汎用性の高いものを買おうと思いました。

以前買ったときは、シューズメーカごとに2~3種類置いてあるのみで、好みのメーカーと価格ですぐにシューズを選ぶことができました。

しかし今回お店には1メーカー・1競技ごとに50~60種類ほどあり、トータルで千種類ほどのシューズが店頭に並んでいました。まさに少量多品種販売の典型的な形でした。

しかも、色違いだけでなく靴裏のソールが異なっていたり、形状・素材が異なっているなど使う人の走り方や癖に合わせたシューズを選べるようになっていました。

 

素人にはどれを選んでよいか全くわからず・・

品揃えは本当に素晴らしかったですが、「汎用目的のシューズはどれを買えばよいの?」という状態に陥りました。

これが自分の得意分野であるパソコンの部品・パーツであれば、一つ一つの商品の特性を知っているので、欲しいものをすぐ選ぶことができるのですが、不得意分野の商品になると「種類が多すぎてかえって商品を選べなくなる」状態に陥ってしまったのです。

 

購入するまで1時間。

人は自分の許容範囲を超えると呆然としてしまうものです。
ただ、ぼーっとしていてもシューズは買えないので、展示してあるシューズ棚の説明を一つ一つ読み、自分の目的・用途に合っているグループの棚を探し、その中から自分の好みに合うものを数種類ピックアップし、それぞれ何が違うのかを説明文を読みながら調べ目的の1足を選びました。

膨大な情報を見ながら1時間費やし、ようやく地域の運動会で使える素人のための汎用スポーツシューズを見つけることができました。

スポーツに対して心得のある方であれば、自分の能力を引き出せるシューズ選びは重要なことで、時間をかける価値のあることです。

しかしながら汎用シューズを買う目的で、同様の時間をかけてしまったのは、なんとも複雑な気分でした。

 

少量多品種の良い面・悪い面

「自分に合った究極の1足を探す」という目的であれば、千種類ほどのシューズから1足を選ぶことは、有意義なことであり親切な配慮だと思います。

しかしながら、「足のサイズに合う運動靴が欲しい」という欲求に対して少量多品種はあまり適していないものだと、少量多品種のデメリットを実感いたしました。

衣服など身にまとう商品は得てして「人様と異なるもの」に一定の価値があります。
だからこそ「少量多品種」が適している部分はあります。

ただ、少量多品種も度を超すと、見込みのお客様が他店へ流れる要因になりえるものだと、お客様の目線で体験することができた良い機会でした。

 

もしかしたら、今回のケースではスポーツ店ではなく「靴屋」に行けばよかったのかもしれません。あえて簡略化した品ぞろえであれば、私のような目的のお客さんであれば、5分もかからず商品を購入できたでしょう。

 

 

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