ホームページ用の写真はおおよそが実用的な写真になります。
主題となるべきイメージに沿うようにするためです。
なので、あまり芸術性を追求しないように撮ります。
ですが、イメージカットやデザイン上の挿絵となれば、芸術性のある写真のほうが映えます。
ところが、いざ芸術性を意識した写真を撮ろうとすると、なかなかうまく撮れないものです。
今回は、実用写真撮影から芸術写真撮影への流れについてレポートします。
まずは資料写真を御覧ください。
今回の題材は「庄川大仏」です。
何も考えずに撮影すると、たいていこのような感じになるのではないでしょうか?
資料写真、現場写真、ロケ写真としては、周囲の情報が多いほうが良いのですが、掲載する写真としては、なにか絵力が足りません。
もうちょっと大仏感を出せればいい感じになるかもしれません。
というわけで撮影した写真がこちらです。
大仏にフォーカスして撮影してみた写真
大仏を主題に配置して撮ってみました。
が、なんでしょう。この記念撮影感は。
それに大仏なのに小さく見えます。
思いのほか周囲のざわめきが気になります。
芸術写真は「引き算」。
余分なものを削除することで絵的に美しくなります。
余計なものを省いて撮影してみたものがこちら
写す角度を変え、背景の木々が映らないように撮りました。
一気に見栄えが変化しました。
下から見上げる感じで撮ると大きく見えます。
これなら、パンフレットなど紹介写真に使えそうです。
ですが、まだ実用写真です。芸術性が足りません。
しかし、周囲の木々などを考えるとベストアングルポジションは他にないように思えます。
どうすればよいのでしょうか?
視点を変えて、普段撮らないものを撮る。
背中で何かを語っているように見えませんか?
大仏=正面からの撮影 という固定概念にとらわれると、実用写真になります。
庄川大仏は、背面からも撮影ができます。
障害物のないポジションから撮影すると、会心の1枚になりました。
撮影時間は午後だったのですが、ちょうど太陽と重なる位置で撮影でき、加工したかのような淡い光が出ました。
さらに角度を変えるとこんな写真も撮れます。
大仏様から後光がさしています。
単純に真後ろから撮影しただけですが、明らかに真正面からとった場合と印象が大きく異なります。
晴天であったこと、太陽の位置がちょうど重なっていたことなどが幸いし、芸術的な写真になりました。
紹介記事用の写真としては、芸術性が強すぎますが、デザインに差し込む写真ならばありではないでしょうか。
どのような写真を撮るかは撮る人の自由。撮らないより撮ったほうがよいです。
以前の自分であれば、正面から撮影した写真で終わっていたと思います。
「被写体は前から写すもの」という固定概念があったためです。
ですが、今回後ろから撮影した写真のほうが、明らかに印象的です。
写真はどのように撮ろうが、その人の自由です。
うまく撮れなければ、なぜうまくいかないかを考え、次につなげればよいのです。
固定概念にとらわれず、自由に撮影することが、写真撮影の第一歩かもしれません。